症状別看護計画:精神運動性興奮状態

精神運動性興奮状態の看護計画

#1昏迷状態の為呼名に無反応で、日常生活行動が維持できない

目標:看護師の介入により、基本的及び生理的欲求を満たすことが出来る
O-P
1 バイタルサイン
2 精神症状
a 反響言語
b 常同姿勢
c 従命自動
d 統合失調症で幻覚、妄想の強い時:被害妄想、罪業妄想
e 統合失調症の急性期:緊張性昏迷、興奮混乱、連合弛緩
f 躁うつ病の急性期:抑うつ性昏迷
g 希死念慮
h スタッフ、他患者への不満反抗
3 循環障害、褥瘡の有無
4 血液検査データ:電解質、総蛋白、アルブミン
5 脱水症状の有無:尿量、皮膚の状態
6 食事量、間食、食事パターン、好き嫌い、食習慣の変化
7 腹部状態、排泄の有無
8 保清、整容の状況
9 睡眠、日中の活動状況
T-P
1 長期臥床による褥瘡、肺炎、拘縮を予防する
a 体位変換:2時間ごと
b 良肢位保持
c マッサージ、背部タッピング
d 褥瘡マットの使用
2 全身状態及び症状に合わせ、経鼻カテーテル、点滴静脈注射、TPNによる栄養補給を考える
3 体重測定を行う:週1回
4 水分出納のチェックを行い、食事の種類、量、時間、食べ方を観察する
5 常態に合わせてデイルームへの誘導を行う。また必要時食事介助を行う
6 食事時間外でも摂取できるよう飲食物を用意しておく
7 刺激物は避け、栄養価の高い物や繊維質の多い食物摂取を勧める
8 食べないと衰弱する、死ぬかもしれない、と言ったり注射をすると脅さない
9 排泄(便の色、性状、硬さ、回数、尿量)の記録をする
10 尿閉に注意し医師の指示の下、必要時は導尿をする
11 時に失禁も見られるため必要に応じオムツを使用する
12 保清の介助をする
13 意識は声明で記憶も保たれているので、不要な看護師間の会話は避け、接し方には十分注意する
E-P
1 不安や気になることは言語化するように指導する
2 食事の必要性を説明する。また家族の協力が得られるよう食べやすいもの、栄養価の高いものなど具体的に例を挙げ、患者や家族に説明し協力を得る
3 水分摂取の必要性を十分指導する

#2昏迷状態の為場所を問わず、突然に行動が制止し無動となること、急に無動状態が解けて活動的になる可能性がある

目標:傷害の危険が無く経過する
O-P
1 無動になる前駆的症状
2 突然の興奮、衝動的行動、自傷、自殺企図の有無
3 きっかけとなるような事象の有無
4 咳嗽、頻脈、血圧低下、胸痛、チアノーゼ、呼吸困難間の有無
T-P
1 無動状態の患者を発見した場合、無理に患者の行動を促そうとせず数名の看護師でベッドへ移送する
2 病棟内の危険物を除去し整理しておく
3 急激な活動は避け安静が図れるようにする
4 症状の変化、維持に対処できるように観察を密にする
5 ベッド柵を使用する
E-P
1 家族へ突然に無動、活動的になることを説明する

#3興奮不穏状態の為自傷、他害、器物破損行為がみられる

目標:興奮不穏状態が治まり危険から脱することが出来、気持ちを言葉で表現できる
O-P
1 日常生活行動
2 他患者との接し方
3 訴えの内容と行動
4 興奮の原因を把握する
5 外傷、身体的異常の有無
6 幻聴、幻覚の有無
T-P
1 普段から信頼関係を保ち話しやすい雰囲気にしておく
2 落ち着いた態度で根気良く接し、看護師は患者の興奮に巻き込まれないようにする
3 医師の指示の下必要時は抑制帯を使用する
4 説得の効果がある場合は説得を試みる。それでもダメな場合は医師に報告する
5 刺激の少ない静かな安全な環境を整える
6 周囲及び患者自身に危険が及ばないように配慮する
7 必要に応じ医師の指示にて保護室入室又は個室にし観察を密にする
8 必要に応じ医師の指示にて処置(与薬、注射)を行う
9 状態に応じて水分と食物の摂取を促す
10 看護師は複数で対応する
11 感情の言語的表現を助け、はけ口の場を与える
E-P
1 我慢しすぎず、怒りや不安があれば医療者に伝えるように指導する
2 興奮状態が収まった後に家族へ指導する
a 日常生活での過ごし方と留意点
b 学校または職場での過ごし方と留意点

#4せん妄状態の為失見当識があり正しい判断が出来ない

目標:二次的傷害を受けないように危険のない環境で過ごすことが出来る
O-P
1 時と場所及び自分自身や周囲の人物を正しく認識できているか
2 意識障害の有無
3 健忘性の有無
4 妄想性の有無
5 無感情性の有無
6 失認性の有無
7 せん妄の出現時間、出現までの経過と症状
T-P
1 患者の言動に細心の注意を払う
2 常に看護師の視野の中に入れておく
3 状態に応じて個室を使用する
E-P
1 不安な事や気になることなど、自分の思いを言語化するように指導する

#5せん妄状態の為日常生活行動を自分で行うことが困難になる可能性がある

目標:可能なことは自分で行い、二次的傷害を受けないように危険のない環境で過ごすことが出来る
O-P
1 食事
a 食事摂取中の患者の状態
b 摂取量
c 間食摂取の有無
d 食事の残り物を持ち込んでいないか
e 水分摂取量
2 清潔
a 洗面・歯磨きができるかどうか
b 入浴できるかどうか
c 更衣できるかどうか
3 睡眠
a 睡眠時間
b 午睡の有無
c 夜間入眠中の状況
4 排泄
a 所定の場所で排泄できるかどうか
b 排尿回数、性状、量
c 排便回数、性状、量
d 腹部膨満の有無
T-P
1 食事状況を観察し誘導、必要に応じて介助する
a 摂取不可の場合には医師に報告し、指示により点滴静脈注射、経管栄養などを行う
b 食事時間内に無理に食べさせようとせず、適時間食も利用して摂取を促す
2 清潔保持状況を観察し誘導、必要に応じて介助する
a モーニングケア、イブニングケア
b 入浴への誘導、介助
c 必要時清拭、足浴、手浴、洗髪の介助
d 更衣を促しできていなければ介助する
e 洗濯物の管理、家人へ連絡する
3 排泄状態を観察し誘導、必要に応じて介助する
a 排尿:必要時時間的排尿を促し、水分摂取量を考慮し8時間以上排尿が無ければ医師に報告し指示を受ける
b 排便:腹部マッサージ温罨法などを行う。3会場便秘している場合は医師に報告し指示を受ける
4 ベッド周囲に危険物がないか観察し危険物を除去し安全を図る
a 環境整備
b 離床マットの設置
c ナースステーションに近い病室に転室する
d 廊下などの床に水がこぼれていないか注意する
5 ベッドからの転落を防止する
a 低床ベッドを使用する
b ベッド柵の使用
E-P
1 せん妄の知識や患者の状態について、家族が理解を得られるように説明する

#6鎮静時の医療スタッフの対応により不信を抱くことがある

目標:鎮静の必要性を理解することが出来安心感が持てる
O-P
1 精神症状
a 患者の表現、言動
b 興奮状態:暴力行為、自傷、他傷行為
c 幻覚、妄想の有無
2 バイタルサイン
T-P
1 静かに自信のある態度で接する
2 鎮静時にはその必要性を説明しても議論は避ける
3 状態に応じて抑制帯、保護室の使用を考慮する
E-P
1 不安な事や気になることなど、自分の思いを言語化するように指導する

#7鎮静中は薬効の為意識レベルの低下があり転落などの危険がある

目標:薬の効果を知ることで、安全に治療を受けることが出来る
O-P
1 意識レベル
a 呼名反応
b 入眠状態
c 体動
d 瞳孔、対光反射
2 バイタルサイン:
3 薬物名、使用量
4 舌根沈下の有無
5 呼吸状態、経皮的酸素飽和度
T-P
1 バイタルサインのチェック
a 60分経過後は呼吸状態に注意し、その後は医師の指示を受ける
2 舌根沈下に注意し、肩枕使用又は側臥位とする
3 入眠しない場合には、しばらく付き添い転落などに注意する
4 部屋はできるだけ静かにし、室内を暗くする
5 頻回に短時間での訪室と観察を行う
6 ベッド柵を使用し状態に応じて抑制帯を使用する
E-P
1 鎮静目的、方法、今後の経過を状態に合わせてわかりやすく説明する
2 転倒転落予防の為動く時には、ナースコールするようにわかりやすく説明する

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