症状別看護計画:てんかん

てんかんの看護計画

#1発作のため外傷などの二次的障害を起こす可能性がある

目標:発作を早めに察知することにより患者の安全が図れ、二次的傷害を残さず症状の改善が図れる
O-P
1 前駆症状の有無。精神症状:憤怒、不安、抑うつ、不機嫌、思考障害、強迫観念、幻視、幻聴、気分の高揚。精神性症状:恍惚、苦悩、既視体験、錯視、幻臭、錯聴、皮膚内臓の異常感、疼痛、眩暈。感覚性症状:頭痛、頭重感、眩暈、しびれ感。自律神経症状:内臓、上腹部、前頚部の違和感。自立神経性症状:睡眠、食欲、胃腸障害、皮膚の紅潮、蒼白
2 前兆の有無。視覚性:目の前に光や玉が見えたり、小視、大視症など。聴覚性:騒音、人声。自動神経性:臭覚、味覚、知覚性、運動性、血管運動性、内臓性。精神的:恍惚、不安、苦悩
3 発作時。日時。発作がどのように始まったか。発作の型と変化。痙攣のようす。全体の時間的経過。意識消失の有無。外傷の有無。発作のあった場所
4 血液データのチェック:血中濃度
T-P
1 入院時、前駆症状、前兆についての自覚があるか確認しておく
2 前駆、前兆の自覚があれば発作を想定し、対処方法を患者とよく話しておく
3 発作時の処置などの指示を前もって受けておく
4 発作時の対処。患者を安全な場所へ移送する:危険な場所、危険物がそばにない限りそのままの位置とする。ベッド上の場合はベッド柵をする。衣類による圧迫を避ける為ベルトなどはゆるめる。固く口を閉じている場合は無理に開口させない。嘔吐物の誤嚥による窒息を防ぐため、口腔内に物はつめない。顔を横に向け誤嚥を防止する。必要時には四肢を軽く抑える:無理には押さえない。全身けいれん終了時、気道を確保する為に肩枕を入れる。又は顔を横に向ける。尿失禁があれば処理する:患者のプライバシーを守る。医師への報告、酸素吸入などの指示を受ける
5 入浴に誘導、介助する
E-P
1 前兆、前駆症状があった場合には看護師に報告し、安全な処理が取れるよう指導する
2 安静度など日常生活上守るべきことは守れるよう指導する。病棟内フリ―又は院内フリー:病棟外に出る時は看護師に連絡する

#2意識清明のように見えても、もうろう状態のことがあり危険を伴う可能性がある

目標:意識が完全に回復するまで転倒転落が起こらない
O-P
1 意識レベル。見当識。了解度。行動、言動。散孔、対光反射
T-P
1 意識が回復するまではできるだけ看護師が付き添う
2 不用意に呼びかけたり動きを止めたりするようなことはしない
3 ベッド周囲の環境整備をしベッド柵を使用する
4 低床ベッドを使用する
E-P
1 発作後はできるだけ安静臥床するよう指導する

#3発作を他患者にみられたことで、いたたまれない気持ちになる可能性がある

目標:不安な気持ちや精神的なことを言葉として表現できることにより、精神的安定を得られる
O-P
1 精神症状。抑うつ。劣等感。失望感
2 患者の訴え、話し方、表現、行動
T-P
1 発作中・発作後も看護師ができるだけ付き添う
2 患者のプライバシーを守るように心掛ける
E-P
1 発作中のことはそれとなく会話を持ち、気にする必要のないことを説明する
2 不安や気になることは自分の中にため込まず、話をできる人に伝えるように説明する

#4再発作に対する不安がある

目標:不安を表現できできるだけ精神的に安定した状態で日常生活が送れる
O-P
1 不安の徴候:表情、言動、話し方とその内容
2 日常生活。食事摂取量。睡眠状態、寝つき。排尿、排便。水分摂取
T-P
1 訴えやすい雰囲気をつくる
2 訴えに対して抑制せず傾聴する
E-P
1 てんかんについて十分説明する。薬物療法と生活上の注意を守ることで、発作は抑えることが出来る。薬を飲むことを生活の一部に取り入れる
2 発作を誘発するような生活上の注意について指導する。過労。過食。怠薬。アルコール。発熱。興奮。過度の緊張や精神的ストレス。激しい運動。睡眠不足。便秘。暴飲、暴食
3 入院生活上の注意、安静度が守れるように指導する。行動範囲。入浴:場合により他患者と一緒に入浴、又は看護師が付き添う

#5生活が規制されることがあり、今後の生活に対して不安がある

目標:疾患についての理解が得られれば、規制されることがあっても配慮、工夫すれば普通の生活がおくれることを知る
O-P
1 アナムネ聴収:特に職業、1日の生活パターン、家族構成
2 不安の内容
T-P
1 患者と話し合う機会を多く持つ
2 職業については医師を含めて話をし、職場や学校などとの連絡調整を行う
3 結婚についても医師を含めて話し合う
4 家族の協力、理解が得られるよう調整する
E-P
1 服薬をきちんとしていれば発作を抑えることが出来ることを指導する
2 発作を抑えるような生活を説明し、退院後の生活も含めて患者とよく話し合い指導する
3 車の運転の制限:運転中意識消失がみられると大事故につながることがあるため運転しないように説明する。車の運転が必要な仕事であれば配置転換など勤務先との調整をとるよう説明する
4 社会生活上の選択について説明する:職業の選択、出産

#6長期に服薬をしなければならないことに対して苦痛がある

目標:服薬の必要性が理解でき正確に服薬できる
O-P
1 服薬の有無
2 副作用、中毒症状、歯肉の増殖、眠気、ふらつき、動作緩慢、貧血発疹
3 疾患、薬物療法に対する理解度
4 生活パターン
5 家族構成
T-P
1 患者が自己管理できないような場合は家族の協力を得る
2 入院中から服薬の自己管理の動機づけをする
3 服薬時間の調整を行う
4 必要があれば薬剤師、保健師の介入を受けられるようにする
E-P
1 服薬の必要性について指導する

#7てんかん特有の性格変化の為他患者、スタッフとのトラブルを起こす可能性がある

目標:他患者とのトラブルを起こすことなく、また周囲の人たちと共同生活ができる
O-P
1 精神症状、憤怒、不安、抑うつ、不機嫌、稀に気分の高揚、思考障害、強迫観念幻視、幻聴様体験
2 知能低下
3 粘着気質
T-P
1 患者と論争しないなど普段から良い人間関係をつくる
2 知能低下、話が回りくどい等の性格変化があることを知り受容的に接する
E-P
1 トラブルになりそうな時には物理的、精神的な距離をとるように指導する

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