症状別看護計画:高血圧

循環器症状

高血圧の看護計画

#1血圧上昇や変動による随伴症状

目標
血圧が正常値内で安定する
高血圧による症状が軽快する

O-P
安静時血圧と体動による上昇の程度
日内変動
脈圧
血圧上昇時の自覚症状:眩暈、ふらつき、頭痛、頭重感、吐き気、動悸、のぼせ感、倦怠感、不安。イライラ感
検査データの把握:心胸比、中性脂肪
血圧上昇に伴う脈拍、呼吸、体温の変化
血圧上昇の誘因
T-P
血圧上昇時は安静臥床を促す
安静時血圧測定で血圧の上昇がある場合は医師に報告する
自覚症状の出現時には血圧測定を行い医師に報告する
定期的に血圧をチェックする
安静時にはADL介助を行う
病室の環境整備を行い精神的安定に努める
のぼせ感のある場合には冷たいタオルで顔面を冷やす
冬季は室温の急激な変化を避ける
高齢者に対しては特に事故防止に努める
血圧値について神経質になっている場合は、医療者間で話し合い対処方法を検討する
きつい衣服は避ける
血圧降下剤を使用した場合、頻回に血圧をチェックし変動を確認する
E-P
自覚症状出現時にはナースコールを押すように指導する
血圧上昇時には安静臥床するように指導する
血圧は運動や精神的な動揺、環境条件により生理的変動があることを説明する

#2 高血圧に関連した合併症を起こすリスク

目標
血圧が安定し合併症を引き起こさない

高血圧の合併症
高血圧性心疾患:心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞
高血圧性腎疾患:急性腎不全、腎硬化症
高血圧性脳疾患:脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、高血圧性脳症
その他:解離性大動脈瘤、眼底出血

O-P
合併症症状の有無
-胸痛
-呼吸困難感
-動悸
-尿量
-腰部痛
-激しい頭痛
-意識障害
-視力障害
2悪性高血圧の発症の有無:拡張期血圧120~130mmHg以上の持続
検査データ:腎機能
眼底所見
T-P
異常症状があれば医師へ報告する
血圧が安定するまでは安静にする
安静にしている間は日常生活のケアは全介助とする
E-P
合併症について説明する
治療の必要性について説明する
異常症状があればナースコール使用を説明する

#3 検査によるストレス

目標
検査の必要性を理解し、不安なく検査を受けることが出来る

高血圧の原因となる疾患
本態性高血圧
慢性腎不全
腎性高血圧
原発性アルドステロン
クッシング症候群
褐色細胞腫

O-P
不安の程度
表情・言動
検査データ
心機能:心雑音、心胸比、ECG、心エコー
腎機能:検尿、血性尿素窒素、血性クレアチニン、尿酸、PSP
内分泌:血中及び尿中の各種ホルモン
E-P
患者の理解度に応じた検査説明を行う
説明後は理解度を再確認する

#4 降圧剤の副作用が出現する恐れ

目標
降圧剤の作用が理解できる
副作用出現時には訴えることが出来る

O-P
降圧剤開始後の血圧の変動のチェック
副作用の出現の有無の観察
トリクロルメチアシド:低カリウム血症、高尿酸血症、耐糖能低下
フロセミド:低カリウム血症、高尿酸血症
スピロノラクトン:高カリウム血症
塩酸クロニジン、メチルドバ:口渇、胃腸症状、下痢
塩酸プラゾシン、酒石酸メトプロロール:眩暈、立ちくらみ
二フェジピン:急速降圧の場合、頻脈、TIA、頭痛
塩酸ジルチアゼム、塩酸二カルジピン:洞性徐脈、房室ブロック
カプトプリル:発疹、発熱、消化器症状
T-P
内服薬の自己管理が難しい場合、看護師が管理する
副作用出現時、医師に状況を報告する
E-P
内服薬に対する知識を情報提供する
降圧剤変更時や開始時、異常が出現したらすぐにナースコールを押す様に指導する
利尿降圧剤開始時には最初に尿量が増加することを説明しておく
Ca拮抗剤は顔のほてりや頭痛が起こることを説明しておく
副作用を感じた時でも自らの判断で服薬中断することの無いように注意する

#5 食事制限が守れない可能性

目標
塩分制限食の必要性を理解し守る事ができる

O-P
入院前の食生活
治療食の摂取量の観察
間食、調味料の使用の有無
E-P
食事についてくるしょうゆやソース以外は添加しないように説明する
食塩の摂りすぎは循環血液量の増加を伴い血圧を上昇させる事を説明する
退院後も同様の食事を継続するため、栄養士による栄養指導を行う
面会人や家族に治療食の必要性を説明し、食べ物の差し入れは遠慮してもらう

#6 嗜好品の制限による精神的苦痛がある

目標
嗜好品の制限する理由を理解できる

O-P
入院前の患者の嗜好品の確認:喫煙、飲酒、コーヒーなど
入院後の嗜好品の変化状況
嗜好品に対する精神的依存状況
T-P
本人の訴えを傾聴し、良好なコミュニケーションを持つ
E-P
喫煙歴のある患者に対する指導は、徐々に本数を減らしていくように勧める
アルコールは血圧を上げることを説明し制酒を助言する
飲酒時のおつまみが塩分方にならないように説明する

#7(肥満がある場合)減量がスムーズに行えないことに対して精神的苦痛がある

目標
減量の必要性を理解できる

O-P
減量への意欲
食事量
体重、体重の変化
T-P
患者の心肺機能を評価し、主治医と相談して目標体重と運動量を決める
毎日体重測定を行う
医師指示の食事量へ変更する:カロリー制限食
患者を励まし減量傾向にある時はともに喜び長続きするように援助する
運動時は直後のVバイタルサインをチェックし適当な運動量であるか確認する
精神状態を確認し患者の立場に立って接する
E-P
肥満の是正の必要性の説明する
カロリー制限と運動が肥満の是正に必要である事を説明する

#8 退院後、食事や内服等の自己管理が出来ない可能性

目標
自己管理ができる
O-P
退院後の患者の生活に:同居家族、食事準備者、仕事内容等
患者や家族が不安に思っていること
E-P
入院中説明した事を確認し、理解が不十分な場合には再度説明する:食事、服薬、運動、嗜好品など高血圧が他臓器に与える影響について説明する
血圧上昇時または下降時の説明する
血圧が不安定の場合は早めに受診するように説明する

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