疾患別看護計画:認知症

認知症の看護計画

#1認知障害の為に日常生活が自分でできにくくなる

目標:日常生活のリズムができる。日常生活動作の自立の拡大ができる。安全安心の日常生活を過ごすことが出来る。表情が穏やかであり、自分のペースで自分らしさを発揮できる
O-P
① 認知機能(記憶、見当識、実行機能、失語、失認、失行)の状態
② 疾患、治療内容
③ 服用している薬剤
④ バイタルサイン:疾患、服薬、体位、運動、環境との関連
⑤ 食事:食事・水分摂取量、栄養バランス、咀嚼力、嚥下機能、食事動作
⑥ 日常生活の過ごし方、生活リズム、日中の活動性と休息のバランス
⑦ 排泄:尿意、便意、失禁、排泄量、間隔、排泄動作
⑧ 清潔:洗面、口腔ケア、入浴、身だしなみなどの自立の状態
⑨ 睡眠:せん妄、中途覚醒、早朝覚醒、睡眠満足度、夜間の睡眠と日中の過ごし方、昼寝の状態
⑩ 移動、運動:移動能力、運動、活動量、転倒・転落の危険性
⑪ 生活意欲の状態
⑫ 患者の生活歴、日常の生活の様子
T-P
① 日常生活のリズムをつける為、日常生活動作を活発にして日中を活動的にメリハリのある過ごし方ができるように対応する
② 全身の筋力低下を予防する為に歩行の機会を多く取り入れる
③ 食事を自分でおいしくバランスよく食べられるように対応する
④ 排泄動作能力に合わせて最も自立した方法で排泄できるように対応する
⑤ 洗面歯磨き手洗いを毎日継続して実施できるように対応し、自分でできることを多くするように適切な声掛けや環境整備を行う
⑥ 入浴時の衣服の着脱など、自分でできることは自分で行えるように動作の少し前に声をかけ、個別に必要な介助をしながらできる範囲を拡大させる対応をする
⑦ 患者の関心に基づいた内容や実施できることを取り入れたレクレーションなどを実施する
⑧ 散歩などを取り入れ季節感を感じたり、外部への関心を持てる機会をつくる
⑨ 他者との対話の機会などコミュニケーションできる場を積極的に作る対応をする
⑩ 患者の機能に合わせた個別の対話を積極的に取り入れる
E-P
① 不安なことがあれば、いつでも安心して過ごせるよう配慮することを患者家族に伝える
② 患者の持てる機能を発揮できるように対応することの大切さを説明する

#2認知症の進行によりコミュニケーションが難しい

目標:患者とのコミュニケーションが取れ相互の信頼関係が形成される。患者の思いを聞き適切な対応ができる
O-P
① 表情
② 視力、聴力、言語、理解力、対話の状態
③ 対話の意欲:話の内容、話の展開、言葉の理解、表現力
④ 話しかけた時の反応
⑤ 何か行動した時の反応
⑥ 伝えたいことがあると思われる時の状態
⑦ コミュニケーションの手段
⑧ 文字の読み書き、内容の理解
⑨ 環境の変化(慣れない表現、馴染みのない人)明るさ、騒音、快適さ、安心の場
T-P
① 視力聴力に合わせた適切なコミュニケーション方法を選択して対話する
② 視力に応じた援助・環境調整を行う
③ 聴力に応じた援助・環境調整を行う
④ 常に積極的に個別の対話の機会をつくる
⑤ 患者の話を良く聴く。患者が伝えたいことの寝衣を理解したいとの思いで接する
⑥ 患者の理解できる話の内容、興味関心の持てる話題で対話を広げるようにする
⑦ 生活歴などこれまでの生活を踏まえた話題にし、患者が話しやすく自信をもって話せるように対応する
⑧ 患者を説得するのではなく納得できるような対話の仕方で進めていく
⑨ 言葉での表現が十分でない時には、言語以外のコミュニケーション方法を工夫する
⑩ 患者の自尊心を傷つけない言葉遣い、対話をする
⑪ 患者の理解の状態に合わせた対話を、患者が理解できず窮地に追い込まれることの無いように対応する
⑫ 患者が安心できるような雰囲気をつくる
⑬ 落ち着いた環境で、患者のペースに合わせてコミュニケーションを行う
⑭ 散歩などで自然に触れることや、心地よい環境の変化をつくり、対話を活発にする工夫をする
⑮ 患者が心地よく、安心していられる環境を整える
E-P
① 患者の認知機能に合わせたコミュニケーション方法の見極め方を家族に説明する
② 患者の自尊心を傷つけないコミュニケーションの方法について家族に説明する

 #3心身・環境要因悪化の為に、精神症状・行動障害の出現がある

目標:精神症状・行動障害が軽減する。精神的混乱が軽減する
O-P
① 患者の認知機能、疾患、薬、身体的不調の要因、人物・物理的、環境の状態・変化
② 精神症状の状態
a 妄想、幻覚、せん妄、抑うつなどの有無
b 具体的な症状の出現の経過
c 生活への支障の内容
③ 精神症状の誘発要因を確認する
④ 徘徊、異食、過食、不潔行為、性的逸脱行為等の有無、具体的症状の出方、経過、生活への支障の内容
⑤ 服用している薬物
⑥ 知覚機能
⑦ ケアの実態・不適切なケアの有無
T-P
① 精神安定への対応、誤認しやすい環境の調整を行う
a 幻覚:身体不調への対応
b 薬物の過剰反応:薬物の中止
② 妄想がある場合には、妄想を誘発する他患者との人間関係、環境要因に目を向けて対処方法を検討する
③ 症状の訴えがある場合、患者の思いを受け止める
④ 患者の感じている不都合や不安を軽減するように対応する
⑤ 徘徊のある場合は、原因を確認し患者の思いや求めている物が得られるように対応する
⑥ 現在の場に落ち着いていられるように、居心地の良い環境にする
⑦ 安全の環境を整える
⑧ 異食のある場合、生活の場を確認して患者が口にする心配がある危険物を、手の届かない場所において保管する
⑨ 攻撃的言動のある場合には、誘因を確認し対応方法を工夫する
⑩ 夕方の不穏がある場合には、その誘発要因を確認して対応方法を工夫する
⑪ 不潔行為のある場合には、その誘因を確認して対応方法を工夫する
⑫ ケアへの抵抗がある場合には、その誘因(理解力の低下、羞恥心、不適切なケア、苦痛を伴うケア、ケアへのかかわり方、意に沿わない事への意思表示の仕方)を確認して対応方法を工夫する
⑬ 出現している精神症状、行動障害を柔軟に受け止め、患者の心理・精神面を安定させる関わりをし、混乱を防ぐ創意工夫のケアを実施する
E-P
① 精神症状、行動障害がある場合には、その症状が出やすい心身・環境要因があること、その個別の要因を判断して積極的に改善させる対応が必要であることを家族に説明する
② 人間関係や介護の仕方によっても症状が誘発されることを家族に説明する

#4注意力・判断力低下の為に、転倒・転落などの事故を起こしやすい

目標:患者の事故誘発の危険要因を軽減する
O-P
1 認知機能の状態
2 視力聴力などの知覚機能
3 移動能力
4 運動機能
5 転棟経験、転倒予防への関心、危険の察知
6 原因疾患、合併している疾患
7 転倒を誘発する服薬内容の確認
8 日常生活の過ごし方の特徴と環境
9 ベッドの環境、椅子、車椅子、車椅子のストッパーの扱い
10 廊下、居室、トイレ、洗面所、浴室、食堂などの環境
11 日常生活で他者に急がされるような場面での行動の特徴
12 事故の回避能力
T-P
1 安定した移動能力を確保する為の運動を継続する
2 日常生活場面での移動・歩行の状態について日々の変化を観察し危険予防をする
3 患者にとって危険な場所を確認し、その都度声をかけて注意を促す
4 住環境・諸設備の使い方を患者の機能に合わせて観察し、事故予防の具体策を考える
5 患者の心身の変化をきめ細かく観察し、変化に合わせた危険の予防をする
6 異食のある場合は食べて外になるものを手の届くところに置かないように環境への配慮をする
7 火傷では低温やけどに注意する
E-P
1 患者の認知機能、疾患、薬、身体機能、環境要因など個別の状態に合わせた事故防止の方法について家族に具体的に説明する

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