小児の白血病の看護計画
- #1入院・治療に関連する家族の不安がある
- #2入院・治療に関連する患児の不安がある
- #3頻回の処置、検査(点滴、採血、骨髄穿刺、髄腔内注入)に関連する苦痛がある
- #4化学療法の副作用に関連する苦痛がある
- #5放射線治療に関連する不安苦痛がある
- #6白血球減少、免疫機能低下に関連する易感染状態を起こす可能性がある
- #7血小板減少に関連する出血の危険性がある
- #8輸血に関連する副作用出現の可能性がある
- #9脱毛に関連するボディ・イメージの変化がある
- #10化学療法の副作用に関連する便秘の可能性がある
- #11患児の入院によって介護者が家に不在がちになり、家族機能に変調をきたす可能性がある
- #12退院後も長期間外来での治療を継続しなければならないことに関連する、両親・患児の精神的負担がみられる可能性がある
#1入院・治療に関連する家族の不安がある
目標:不安の表出が出来、入院や治療に対する前向きな発言が聞かれる
O-P
1 医療者と接する時の家族の言動、表情、態度
2 処置、検査、治療に対する言動、表情、態度
T-P
1 入院時の病状説明は必ず看護師も一緒に聞き、家族の理解の程度を知る
2 家族が求めている情報を把握し、適切な情報を適切な時期に提供できるように他の医療者との関係を調整する
3 家族から思いの表出があれば傾聴する
#2入院・治療に関連する患児の不安がある
目標:感情を表出することが出来、入院中笑顔で過ごすことが出来る
O-P
1 医療者と接する時の患児の言動、表情、態度
2 処置、検査、治療に対する言動、表情、態度
T-P
1 病棟の規則に沿って可能な限り患児の希望を取り入れた入院環境を提供する
2 処置検査の際にはプレバレーションを取り入れ、患児の精神的負担を軽減する
3 患児の年齢や発達段階に合った遊びや学習を取り入れながら良好な関係を構築する
#3頻回の処置、検査(点滴、採血、骨髄穿刺、髄腔内注入)に関連する苦痛がある
目標:苦痛や不安が少ない状態で検査を受けることが出来る
O-P
1 検査、処置前・中・後の患児の言動、態度、表情
2 検査・処置の必要性の理解度
3 疼痛、苦痛に対する認識
T-P
1 検査処置前にプレパレーションを取り入れ説明する
2 採血、点滴時の固定を確実に行う
3 検査処置前は励ましの言葉を、終了後はねぎらいの言葉をかける
#4化学療法の副作用に関連する苦痛がある
目標:副作用に対する苦痛ができるだけ少ない
O-P
1 バイタルサイン
2 食欲、食事摂取量、水分摂取量
3 吐気、嘔吐
4 全身倦怠感
5 口内炎
6 急性腎不全、出血性膀胱炎の症状
7 静脈注射中の血管外漏出の有無
8 患児の言動、行動、機嫌
9 尿検査、尿の性状
10 便の性状、回数
11 検査データ
T-P
1 食欲を増進させるように工夫する。食事のタイミングや形態など患児の嗜好に合わせて補食を行う
2 医師の指示により制吐剤を使用する
3 点滴管理を行う
4 遊びを工夫したりして気分転換を図る
5 傍に付き添い励ましたり、ねぎらいの言葉を掛けたりする
6 口腔内の清潔ケアを行い口内炎を予防する
EーP(教育)
1 注射の必要性を家族に分かりやすく説明する
2 摂取しやすいような食事の工夫を患児家族と共に考える
3 口内炎予防の方法について説明する
4 苦痛症状があればいつでも報告するように説明する
#5放射線治療に関連する不安苦痛がある
目標:放射線治療の必要性が理解できる
O-P
1 宿酔症状
a 全身倦怠感
b 頭痛
c 吐気、嘔吐
d 下痢、腹痛などの消化器症状
e 食欲不振
f 皮膚の刺激症状
g 発熱
h 脱毛の有無
T-P
1 症状が現れた時は対処療法を行う
2 幼児以上の患児の場合、照射が終了すれば治ることを話して励ます
3 照射部位を保護し、印が消えないように保護する
4 放射線科へ行く時は防止マスクを着用する
EーP(教育)
1 放射線療法について感じにわかりやすく説明する
a 必要性
b 期間と部位
c 照射中の時間と方法
#6白血球減少、免疫機能低下に関連する易感染状態を起こす可能性がある
目標:易感染を起こしやすい状態であることを患児・家族が理解し、感染予防を実行することで感染に罹患せず入院生活を送ることができる
O-P
1 バイタルサイン
2 感染の徴候:発熱、咳嗽・鼻水など呼吸器感染症、下痢などの消化器症状、皮膚粘膜の発赤、尿路感染症
3 活気、機嫌
4 検査データ
5 感染予防行動の実施状況
6 感染予防薬の服薬状況
T-P
1 感染予防の隔離に準ずる
2 皮膚粘膜の清潔を保持する:全身清拭、洗髪、口腔の清潔、陰部の清潔保持
EーP(教育)
1 清潔保持、面会制限、手洗い、マスク使用、生物摂取禁止の必要性など、気を付ける内容を説明する
2 感染予防の内服が必要であることを説明する
#7血小板減少に関連する出血の危険性がある
目標:身体損傷を起こしやすい状態であることを、患児家族が理解できる
O-P
1 バイタルサイン
2 顔色
3 出血痰、鼻出血、歯肉出血の有無
4 頭痛、吐き気、嘔吐の有無
5 尿、便の潜血反応
6 検査データ
T-P
1 採血、検査後の止血を確実に行う
2 ベッド上の整理整頓(必要に合わせてベッド柵を保護する)
3 口腔内の清潔保持には歯ブラシを使用せず綿棒、ガーゼ、スポンジスワブなどを使用する
4 清拭時は強く拭かないようにする
5 皮膚に対しては圧迫の強いものは避ける
EーP(教育)
1 出血の誘因を避け、日常生活が送れるように患児・家族に指導する
2 異常を発見したらすぐ報告するように説明する
#8輸血に関連する副作用出現の可能性がある
目標:副作用の出現が報告出来る
O-P
1 バイタルサイン
2 アレルギー反応:蕁麻疹、悪寒、頭痛、吐き気嘔吐
T-P
1 輸血の管理を行う:輸血の種類の確認、量と時間の確認
2 症状が出現した時はすぐ医師に連絡し適切な処置をとる
EーP(教育)
1 副作用の症状について説明し、発見時はすぐ報告するよう患児家族に説明する
#9脱毛に関連するボディ・イメージの変化がある
目標:ボディイメージの変化は治療に伴うものであり、一時的なものであるこが理解できる
O-P
1 脱毛についての患児家族の受け止め方
2 外見の変化に対する患児の言動
3 羞恥心の程度
T-P
1 環境整備を行う:ベッド上の脱毛は粘着テープで取り除く
2 バンダナ、帽子などの使用を説明する
3 髪が長い場合には治療前に短くしておく
EーP(教育)
1 家族と相談して患児には統一した方法で治療前に説明を行う
2 脱毛は一時的な物であり、治療終了後に頭髪はまた生えてくることを患児家族に説明する
#10化学療法の副作用に関連する便秘の可能性がある
目標:毎日排便がみられる
O-P
1 排便の有無、量
2 腹部膨満
3 食事摂取量、水分摂取量
T-P
1 毎日決まった時間に排便を促すよう習慣づける
2 主治医の指示にて緩下剤を与薬する
#11患児の入院によって介護者が家に不在がちになり、家族機能に変調をきたす可能性がある
目標:介護者が休養する為のサポートを得ることが出来、患児家族が心身ともに安定した状態で入院生活を送ることが出来る
O-P
1 患者背景
2 他の家族の状況
3 付き添い状況
4 介護者の健康状態・精神状態
T-P
1 介護者からの不安の表出があれば傾聴する
2 介護者が休息できる時間を確保する
#12退院後も長期間外来での治療を継続しなければならないことに関連する、両親・患児の精神的負担がみられる可能性がある
目標:定期的外来フォローの必要性を理解することが出来る
O-P
1 定期的外来フォローの必要性の理解の程度
2 両親患児の定期的外来受診に対する訴え
T-P
1 継続看護依頼を行い、退院後は外来で連携した看護が受けられるようにする
EーP(教育)
1 日常生活における注意点について指導する
2 定期的な受診、外来での治療、内服の継続などの必要性を説明する