治療別看護計画:胸腺摘出術

胸腺摘出術の看護計画

#1眼筋障害により眼瞼下垂、複視により外傷の危険性がある

目標:眼筋障害が進行せず、外傷の危険から身を守ることが出来る
O-P
1 眼筋障害の発症、程度、左右差
2 複視の程度
T-P
1 複視により生活に支障が生じれば、眼帯を掛けさせる
2 出来る限り訴えに耳を傾け不安を軽減する
3 周囲の環境を整える
E-P
1 階段の昇降をしないように説明する

#2筋無力発作により呼吸困難、食物誤飲の恐れがある

目標:窒息など生命の危険から逃れられる
O-P
1 呼吸状態
2 嚥下状態、誤嚥の有無
T-P
1 重症なら医師の指示にて薬物を与薬する
2 誤飲を防ぐため吸引を行う
3 補助呼吸又は適応により気管切開の準備をする
4 呼吸、循環管理が厳密に必要な場合はICU入室の準備を行う
5 鎮静剤及びトランキライザーは禁忌とする
6 食事の工夫:嚥下障害が強い時は鼻腔栄養とする
E-P
1 食事はゆっくりと摂取する
2 水分はむせ易いので固形物をとるよう指導する

#3抗コリンエステラーゼ剤の過剰与薬によるクリーゼを起こす恐れがある

目標:抗コリンエステラーゼ剤を確実に内服することが出来る
O-P
1 1日の内服薬の分量と時間の把握
2 内服の不足でおこる症状:呼吸困難、チアノーゼ、唾液分泌物減少、全身脱力など
3 臨床症状:複視、眼瞼下垂、筋脱力感、仮面様顔貌、発汗微弱、嚥下困難
4 内服過剰による症状:発汗、唾液分泌物過多、流涙、縮瞳、筋線維性攣縮、中枢神経症状(頭痛、眩暈)
5 血清カリウム値
T-P
1 内服を確実に与薬する
2 常に挿管できるように準備しておく
3 定期的に筋力テスト(握力)をする
4 テンシロン試験
E-P
1 内服を確実にするよう指導(自己管理の難しい患者は看護師が管理する)
2 薬の副作用を説明する

#4肺機能の低下により術後重篤な呼吸器合併症が予測される

目標:有効な呼吸機能訓練ができ、無気肺の予防、換気改善が出来て手術に臨める
O-P
1 呼吸状態
2 呼吸機能の把握:スパイロ、血液ガス分析
T-P
1 医師の指示により吸入:手術決定より開始
2 呼吸法練習(腹式呼吸)
3 喀痰喀出練習、体位ドレナージ、有効な咳嗽方法、タッピング
4 インスピレックスによる呼吸訓練:入院早期より開始、必要に応じてIPPBを施行する
E-P
1 禁煙を守るよう説明

#5病気と手術に対する不安が生じやすい

目標:病気に対する知識が得られ、不安が軽減され手術に望むことが出来る
O-P
1 患者の言動、態度
2 睡眠状態
3 疾患に対する理解度
T-P
1 コミュニケーションを図り疾患に伴う不安感を抽出し、医師を含めて説明を行うことにより不安の軽減に努める
2 手術のオリエンテーションを適切に行い不安感を最小限にする
3 治療法やその効果について説明し、疾患の理解を深める
4 精神が身体に及ぼす影響を説明し、患者自身に理解を促す

#6手術、創痛、感染、薬剤などが誘因となって術後クリーゼ及び肺合併症を起こす可能性がある

目標:クリーゼ発症時すぐに対応でき、二次感染を起こさない
O-P
1 バイタルサイン
a 血圧、脈拍、心電図
b 呼吸状態:呼吸様式、呼吸音、喀痰、胸郭の動き、血液ガス、胸部レントゲン所見
2 筋脱力症状:眼瞼下垂、複視、散瞳、構音障害
3 痛みの程度
4 検査データ:CBC、CRP
T-P
1 呼吸管理
a 酸素療法
b ネブライザ、タッピング
c 常にベッドサイドに挿管の準備をしておく
2 輸液の管理
3 指示されたステロイドホルモン剤は確実に実施しているか確認
4 薬剤禁忌を知る
5 疼痛時は医師の指示により鎮痛剤の使用
E-P
1 去痰の方法と必要性を説明する

#7水分、電解質(低カリウム血症)のアンバランスが生じやすい

目標:体内の水分バランスを良い状態で保てる
O-P
1 低カリウム症状:脱力、心電図上U波出現、不整脈
2 水分出納
a 輸液量
b 尿量、尿比重、発汗、ドレーン排液量
c 飲水チェック
3 血清、尿中の電解質
4 腎機能データ
T-P
1 輸液、輸血の管理
a 水分バランスのチェック:8時間ごと
b クリーゼ発症時、低カリウム血症になりやすいので注意を必要とする
c 指示によりカリウム製剤与薬

#8術後経過に波があり、症状の改善を期待している患者にとって精神的に不安定になりやすい

目標:病気が理解でき精神状態が安定する
O-P
1 下記の症状の日中の変化
a 眼筋症状:程度と左右差
b 複視の程度
c 筋脱力症状:呼吸状態、咀嚼困難
d 日常生活動作の程度
2 症状の変化に伴う、患者の言動、態度
3 睡眠状態
4 抗コリンエステラーゼ剤が指示通り内服できているか
T-P
1 事故防止に努める:環境整備、行動の制限、症状急変時適切な処置
2 患者の訴えに耳を傾ける
3 抗コリンエステラーゼ剤が指示通り内服できているかチェックする
E-P
1 退院に向けて内服薬の分量と時間を指導する
2 再度、病気に対する説明をする

タイトルとURLをコピーしました