症状別看護計画:小児の誤飲・誤嚥

小児の誤飲・誤嚥の看護計画

#1突発的な異物誤飲の発症に関連する親の不安と罪の意識がある

目標:家族が誤飲した時の状況を正確に情報として提供できる

O-P

1 家族の表情、言動、行動

2 家族の話の内容

T-P

1 家族は気持ちが動揺していることが多いので看護師は沈着な態度で接する

2 家族が落ち着いて場面を正しく思い出せるようやさしく言葉をかける

EーP(教育)

1 吐物、飲み残しの液、錠剤、硬貨など身の回りのものの点検をして、後飲、誤嚥物質と思われるものがあれば持参するよう説明する

#2胃内に合成洗剤が長時間停滞することに関連して、重篤な症状が出現する可能性がある

目標:速やかに完全に異物が除去され症状の出現がない、または症状が軽減する

O-P

1 バイタルサイン

2 症状の観察。悪心、嘔吐。咽頭痛。下痢、腹部症状。腸管出血。呼吸刺激症状。咳嗽、チアノーゼ。腹痛

T-P

1 点滴管理を行う

2 合成洗剤の場合:催吐(口の中に指を深く入れ刺激する。医師の指示、意識障害のある時は禁忌

3 胃洗浄について。吸引の実施と酸素の準備。重症心疾患、痙攣、肺疾患では禁忌。強酸、弱アルカリ、ストリキニーネでは禁忌

4 医師の指示により解毒剤の正確な与薬を行う

5 症状について家族が主治医からの説明を受けやすいようにする

EーP(教育)

1 退院指導をする。子供の手の届かない場所で保管する。使用後は速やかに片づける

#3胃内に石油が長時間停滞することに関連して重篤な症状が出現する可能性がある

目標:速やかに完全に異物が除去され、症状の出現がない、または症状が軽減する

O-P

1 悪心、嘔吐

2 口内灼熱感

3 咳嗽、呼吸困難、チアノーゼ

4 脱力、昏睡、興奮性

5 検査結果:X線

6 バイタルサイン

T-P

1 点滴管理を行う

2 催吐や胃洗浄禁忌について

3 呼吸管理を行う

4 医師の指示により抗生物質の与薬を行う

5 医師の指示により流動パラフインの投与を行う

6 症状について、家族が主治医からの説明を受けやすいように配慮する

EーP(教育)

1 退院指導を行う。子供の手の届かない場所で保管する。使用後は速やかに片づける

#4胃内に煙草が停滞することに関連して、重篤な症状が出現する可能性がある

目標:速やかに完全に異物が除去され症状の出現がない、または症状が軽減する

O-P

1 嘔吐、頭痛

2 手指振戦

3 顔面蒼白

4 腹痛、下痢

5 視力障害

6 徐脈、瞳孔散大

7 バイタルサイン

8 血圧の異常

9 意識障害

10 痙攣

T-P

1 点滴管理を行う

2 催吐を行う

3 胃洗浄を行う:生理食塩水を使用

4 吸引を実施する

5 対症看護を行う。徐脈:医師の指示によりアトロピン硫酸塩皮下注。痙攣:医師の指示により抗痙攣剤与薬

6 呼吸管理を行う

7 症状について必要に応じ、家族が主治医からの説明を受けやすいように配慮する

EーP(教育)

1 退院指導を行う。煙草や吸い殻の管理をする。子供の手の届かない所で保管する

#5胃内におもちゃや硬貨が長時間停滞することに関連して、胃粘膜の損傷の可能性がある

目標:速やかに完全に異物が除去され症状の出現がない、または症状が軽減する

O-P

1 X線による異物の場所

2 排便ごとに便の観察

3 腹部状態

4 硬貨、おもちゃの種類、大きさ

5 バイタルサイン

T-P

1 症状について家族が主治医からの説明を受けやすいように配慮する

EーP(教育)

1 便の観察方法について指導する

2 退院指導をする。子供の成長発達に合ったおもちゃを与える。使用後は片づけをする。硬貨などは子供の手の届かない場所で保管する

#6胃内に水銀電池が長時間停滞することに関連して、重篤な症状が出現する可能性がある

目標:速やかに完全に異物が除去され症状の出現しない

O-P

1 水銀電池を飲んだ時間:飲んでからの経過時間

2 検査結果:X線にて位置の確認

3 腹膜刺激症状

4 腸穿孔

5 バイタルサイン

6 嘔吐、排便状態

T-P

1 点滴管理を行う

2 食道に停滞している時について:内視鏡的又は外科的手術の看護

3 胃内に停滞している時について。左側臥位とする。磁石付きカテーテルを用いての摘出時の看護

4 胃を通過している時について。主治医指示にて下剤与薬にて自然排出を待つ。腸穿孔時:手術時の看護

5 症状について、家族が主治医からの説明を受けやすいよう配慮する

EーP(教育)

1 手術や内視鏡的摘出術の必要性について説明する

2 退院指導を行う。子供の手の届かないところで保管する。ゲーム機やおもちゃなどの管理を適切に行う

#7緊急入院で異物摘出術が必要なことに関連する、家族の動揺がある

目標:家族が患児の現在の状態と手術に対しての説明が理解できる

O-P

1 患児・家族の表情、言動

2 手術に対しての不安の観察

T-P

1 処置検査の間、家族は別の場所で待機してもらう

2 処置の内容や要する時間について、主治医からの説明を把握して家族の訴えや質問を聴く

3 家族は混乱動揺している場合が多いので看護師は冷静にゆっくりはっきりした言葉で説明する

4 処置が終われば一般的手順に沿って入院時オリエンテーションを行う

#8気管内異物貯留に関連する呼吸困難がある

目標:安楽な呼吸ができる

O-P

1 バイタルサイン

2 呼吸状態、咳嗽発作、喘鳴、呼吸困難、チアノーゼ

3 一般状態の観察

4 胸痛、血痕

5 顔色、口唇色

6 検査データ:血液ガス分析、胸部X線

T-P

1 安静を保つためにできるだけ啼泣、発生や咳き込みを抑える

2 自力で体位変換できない場合:1~2時間ごとに行う

3 医師の指示により薬液吸入や生理食塩水の吸入を行い分泌物を喀出しやすくする

4 タッピング、吸引の実施により分泌物を除去する

5 点滴管理及び医師の指示により抗生物質の与薬を行う

6 医師の指示により酸素吸入を実施する

7 安楽な体位を工夫する:肩枕を使用して胸部を広げる。セミファーラー位保持

8 気管支鏡:検査処置後の浮腫や痰の貯留による、狭窄症状に注意する

EーP(教育)

1 家族がそばにいる時は、啼泣させないように協力を得る

2 処置(吸入、吸引)に対して必要性を説明する

3 退院指導を行う:2度と繰り返さないように指導する。食事はゆっくり少しづつ与える。遊びながら食べたり、食べながら走らせたりしない。ナッツ類は学童期になるまで与えない

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