疾患別看護計画:急性白血病

急性白血病の看護計画

  1. #1クリーンルーム、準クリーンルーム入室の為不安、ストレスがある
  2. #2化学療法後の顆粒球減少により感染を受けやすい
  3. #3貧血の為動悸ふらつきなどの症状があり、事故の可能性がある
  4. #4血小板減少による出血傾向の可能性がある
  5. #5治療開始により抗がん剤の副作用が出現しやすい
  6. #6化学療法の副作用による食欲不振、吐き気、嘔吐などの胃腸障害がある
  7. #7治療薬の点滴漏れがある場合には、組織壊死を起こすことがある
  8. #8治療による精神不安とイライラ感がある
  9. #9治療および抗生物質による肝機能障害の為全身倦怠感がある
  10. #10治療薬の副作用による脱毛がある
  11. #11化学療法後、骨髄抑制による血小板減少による消化管出血がある
  12. #12化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に鼻出血がある
  13. #13化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に歯肉出血がある
  14. #14化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に肺胞内出血を起こす
  15. #15化学療法後、骨髄抑制による血小板減少により脳出血を起こす
  16. #16化学療法後の顆粒球減少による感染の為の発熱がある
  17. #17化学療法後の顆粒球減少による肺炎がある
  18. #18輸血による副作用が起きる可能性がある
  19. #19中枢神経系湿潤による種々の症状がある
  20. #20中枢神経系湿潤による麻痺が進行することによる不安がある

#1クリーンルーム、準クリーンルーム入室の為不安、ストレスがある

目標:入室の必要性を理解し、治療に対して前向きに取り組める

O-P
1 表情、言動、理解度
2 入室に対する受け止め方
3 不安の原因
T-P
1 入室時医師よりムンテラを十分にしてもらう
2 良い人間関係をつくる
3 面会者は家族又は親しい友人に制限し、ガウンマスク着用で許可する
E-P
1 クリーンルーム、準クリーンルーム入室の方法はパンフレットを利用し説明する
2 検査データ(白血球、好中球、血小板)特に好中球により安静度が変更することを説明する
3 パンフレットを使用し患者家族に入室手順を指導する

#2化学療法後の顆粒球減少により感染を受けやすい

目標:感染予防が分かり重症な感染症に陥らない
O-P
1 バイタルサイン
2 呼吸器症状:咳、痰
3 咽頭痛、口内炎の有無
4 患者の行動範囲
5 検査データ:WBC(特に好中球)CRP
6 時の有無、便の性状、肛門周囲の状態
T-P
1 治療後の骨髄抑制の意味を医師、看護師より説明し感染予防の知識を導く
2 硫酸ポリミキシンB、ファンキゾンの内服で腸内殺菌を開始する為間食の内容をチェックする
3 硫酸ポリミキシンB、アムホテリシンBで含嗽を行う
4 排便後には塩化ベンザルコニウムで座浴する、排便後塩化ベンザルコニウム綿をわたす
5 面会人を制限する:家族以外の面会人を制限する
6 エンビラケアを使用する:エンビラケアは吹き出し口より1m以内は清潔であるが、その他は不潔であることを説明する
E-P
1 間食は電子レンジなどで熱処理をする
2 外出時にはマスク着用、手洗いを励行する
3 吸入、含嗽を励行する
4 歩ける患者はウオシュレットを使用する
5 女性の場合には排泄毎に塩化ベンザルコニウム綿で清拭する

#3貧血の為動悸ふらつきなどの症状があり、事故の可能性がある

目標:危険防止できる
O-P
1 検査データ:RBC、Hb、Ht、骨髄像
2 バイタルサイン:T、P、血圧
3 顔色
4 眼瞼結膜、口腔粘膜、爪の状態、色の変化
5 倦怠感、眩暈、息切れ、ふらつき、頭重感、四肢冷感、耳鳴り、舌炎、口角炎、頭痛、動悸の有無、程度
T-P
1 患者の状態に応じ、身の回りの援助を行う(配膳、下膳、清拭)
2 組織細胞の栄養不良の為、全身の新陳代謝が低下している為保温に努める(室温の調節、靴下、足浴)
3 含嗽を行い、口腔内を清潔にし口内炎、歯肉炎の予防を行う
4 失神発作時は衣服の緊迫をとり、誤嚥防止の為トレンデレンブルグ体位にする、不安を除去し心身の安静を保てるように配慮する
5 舌炎、口角炎出現時、含嗽の励行をし医師の指示にて薬剤の与薬を行う
6 輸血施行時は管理を行い副作用の有無をチェックする。また副作用出現時は輸血を中止し医師の指示を受ける
E-P
1 立ちくらみ時の対処方法を指導する
2 運動制限の必要性を指導する

#4血小板減少による出血傾向の可能性がある

目標:出血傾向にあることを知り、危険防止ができる
O-P
1 検査データ:血小板、出血時間、凝固時間、FDP
2 バイタルサイン
3 自覚症状:頭痛、眩暈、血痰、タール便、血尿、鼻出血、歯肉出血、点状出血班、視力障害、消化器症状
T-P
1 筋肉皮下注射の禁止:やむを得ない場合にはできる限り細い注射針を使用しもまない
2 環境整備を行い危険物を除去する
3 身体の一部分に強い圧迫を加えない
a マンシェット、駆血帯は衣類又はタオルを巻いた上から行い、短時間で済ませる
b 清拭時には強くこすらない
4 排便のコントロールを行い便秘にしない
5 痔がある場合には、肛門の処置を行い保清に努める:ウオシュレット、座浴
6 患者の目に見える出血には、不安を生じやすいので状態を説明し安心させる
E-P
1 豚毛、または水歯磨きを使用する
2 鼻出血防止の為、鼻は強くかまない
3 下着はゆったりとした綿製品を使用する
4 入浴清拭時には強くこすらない
5 安静を保つ:長時間の立位は避ける
6 事故防止に努める

#5治療開始により抗がん剤の副作用が出現しやすい

目標:副作用について理解が出来安楽に治療が受けいれられる
O-P
1 各薬剤の副作用を知り観察する
a ステロイドホルモン:糖尿病、消化器潰瘍、精神症状
b 抗がん剤:出血性膀胱炎、皮膚の色素沈着
c 代謝拮抗剤:口内炎、悪心、下痢
d 塩酸ダウノルビシン:心筋障害
e アドリアマイシン:心筋障害
f 硫酸ビンクリスチン:末梢神経障害
T-P
1 使用薬剤を把握し、症状の出現を早期に知る
2 患者は不安になりやすいので、正しい知識を持ち安心感を与えるような説明をする
3 副作用出現時には医師の指示に従い対処する
4 治療前に出現しやすい副作用の症状について説明する

#6化学療法の副作用による食欲不振、吐き気、嘔吐などの胃腸障害がある

目標:栄養素を少しでも摂取でき、苦痛が最小限にとどめられる
O-P
1 食事摂取量
2 吐気、嘔吐の有無
3 吐物の性状
4 水分バランス
5 腹部症状
6 吃逆
T-P
1 嗜好に合わせ、少量でも栄養価の高い食品を摂取させる:高カロリー飲料、ヨーグルト、アイスクリームなど
2 食事時間を制限せず、食べられるときに電子レンジで再加熱して用意をする
3 吐気時には医師の指示で制吐剤を使用する
4 吐物はすぐに処理して、ベッド周辺の清潔を保持する

#7治療薬の点滴漏れがある場合には、組織壊死を起こすことがある

目標:組織壊死を起こさず、組織破壊が最小限にとどめられる
O-P
1 漏れた薬剤の確認
2 皮膚の色、熱感、疼痛、腫脹、壊死の有無
T-P
1 点滴漏れが起きないように刺入部を固定する
2 点滴漏れのあった場合には、原因薬剤を確認した上で直ちに医師に報告しステロイドホルモン剤の局所注射を行う
3 局所注射後はリバノール湿布を一日2回交換する
4 翌日より、ステロイドホルモン剤入りの軟膏を塗布し、ガーゼ交換を最低1週間は継続する
5 治療の施行前には点滴漏れの危険性を説明する
E-P
1 治療点滴中痛みや腫脹などの報告の必要性について説明する

#8治療による精神不安とイライラ感がある

目標:精神的に安定し、納得して治療が受けられる
O-P
1 表情、言動、理解度、精神状態
2 使用薬剤
T-P
1 治療開始時、治療中は看護師ができるだけベッドサイドに居る時間を多くする
2 コミュニケーションを十分にとり不安の原因を探りその原因の解決に努める
3 医師の指示により安定剤、睡眠剤を与薬し苦痛緩和を図る
4 治療内容、点滴の形式、時間を前もって説明する

#9治療および抗生物質による肝機能障害の為全身倦怠感がある

目標:肝庇護の方法を理解し実施できる
O-P
1 検査データ:GOT、GPT、LDH、ビリルビン、血中アンモニア
2 黄染の有無、アセトン臭
3 倦怠感、掻痒感、皮膚の状態
4 食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛
5 便の性状
6 腹部膨満
T-P
1 肝機能障害を起こす薬剤を把握しておく
2 医師の指示にて薬剤を中止する
3 食事の変更:肝臓病食、高カロリー、高タンパク質の食品
4 状態に応じてADLン介助を行う
5 掻痒感がある場合はヨモギローションなどを使用し清拭を行う
E-P
1 食後2時間のベッド症安静の必要性を説明する

#10治療薬の副作用による脱毛がある

目標:状態が受容でき、身辺が不潔にならない
O-P
1 脱毛の程度
2 精神状態
T-P
1 枕元にバスタオルを敷き毎日交換する
2 ベッドサイドの清掃、ガムテープで頭髪を除去する
3 頭髪の保清(乾燥時にはオリーブ油を塗布する)に努める
4 患者の同意があれば散髪する
5 不安が強い時には、一時的に抜けても再び生えることを説明する
6 患者に同意を得て治療時の頭部冷罨法を行う
E-P
1 ナイトキャップ、又は帽子の着用を勧める

#11化学療法後、骨髄抑制による血小板減少による消化管出血がある

目標:消化管出血時、動揺が少なく誤飲などの事故防止ができる
O-P
1 バイタルサイン
2 検査データ:CBC、出血時間
3 便の性状、下血、タール便
4 吐物の性状
5 腹痛の有無
6 吐気、嘔吐
7 出血量、部位
8 全身状態
T-P
1 吐血時には誤嚥しないように頭を横に向ける
2 上部消化管なら冷罨法で血管の収集九が増強するが、下部消化管は腸蠕動を亢進させるので注意する
3 程度に応じて絶飲食とする
4 医師の指示でトロンビン末の内服を開始する
5 四肢末梢の保温
6 状態によりADLの介助を行う
7 身体の保清に努める
E-P
1 消化管出血による排便色、吐物色の観察の必要性を説明する
2 安静の保持を指導する

#12化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に鼻出血がある

目標:鼻出血時の処置を理解し、口腔内が清潔に保たれる
O-P
1 出血部位
2 出血量、持続時間
3 検査データ:血小板、出血時間
4 バイタルサイン
5 顔色
6 精神状態
T-P
1 出血時エピネフリンタンポンで圧迫止血を行う
2 頭部を高くして安静を保持し、血液が喉頭に流れるのを防ぐ為に顔を横に向ける
3 鼻根部を冷罨法する
4 医師の指示によって酸化セルロースガーゼ型、アズレン軟膏を挿入する
5 止血不能な時には耳鼻科に連絡する
6 医師の指示で止血剤、輸液を行う
7 口腔内を清潔にする為に、ポビドンヨード剤で含嗽させる
E-P
1 鼻を強くかまない
2 酸化セルロースガーゼ型、エピネフリンタンポンは指示あるまで除去しない
3 凝血は無理にとらない
4 止血するまで安静を保持する

#13化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に歯肉出血がある

目標:止血方法が分かり、口腔内が清潔に保たれる
O-P
1 出血部位、創傷の程度、出血時間
2 出血量
3 検査データ:PLT、FDP
T-P
1 圧迫が可能な部位は滅菌ガーゼで圧迫する
2 エピネフリンガーゼ、またはガーゼにトロンビン末を塗布し患部に貼付する
3 ゼルホームを患部に固定する
4 出血による悪臭と不潔になりやすいためにポビドンヨード剤で含嗽させる
E-P
1 口腔内ケアの方法を指導する
a 出血中は歯ブラシの使用は避け、水歯磨きを使用する
b エビネフリンガーゼなどを指示するまで除去しない
c 食事は固いものを避ける
d 凝血は無理にとらない

#14化学療法後、骨髄抑制による血小板減少の為に肺胞内出血を起こす

目標:以上の早期発見に努め安楽な呼吸ができる
O-P
1 バイタルサイン
2 痰の性状
3 チアノーゼ
4 呼吸状態:回数、呼吸音、呼吸困難の有無、眼球振盪
5 血液ガス
6 胸部レントゲン所見
7 出血部位の確認
T-P
1 頬部(出血部位)を氷嚢で冷却する
2 安楽な体位をとらせる:出血側を下にする
3 医師の指示で輸血、輸液の準備をする
4 急変時は挿管し呼吸管理をする

#15化学療法後、骨髄抑制による血小板減少により脳出血を起こす

目標:早期に意識レベルが改善される
O-P
1 バイタルサイン
2 意識レベル
3 瞳孔、眼位、対光反射、異常反射の有無、麻痺の状態
4 呼吸状態
5 脳圧亢進症状
6 頭痛、吐気、嘔吐
7 眼底検査、視野障害
8 失語障害
T-P
1 絶対安静
2 急変時にはショック時の看護を参照
3 状態が安定すれば医師の指示でリハビリテーションを開始する

#16化学療法後の顆粒球減少による感染の為の発熱がある

目標:体温が37度前後に保たれ、脱水がなく苦痛が少ない
O-P
1 熱型
2 検査データ:WBC、ESR、CRP、細菌検査
3 水分バランス
4 感染源、感染創の観察
T-P
1 冷罨法を行う
2 熱発時には医師に報告し血液培養の介助をする
3 抗生物質の与薬を医師の指示で行う
4 全身の保清に努める
5 脱水防止の為水分摂取を促す
6 感染源が明らかな時は処置を行う

#17化学療法後の顆粒球減少による肺炎がある

目標:胸部レントゲンの所見が憎悪なく、呼吸困難を起こさない
O-P
1 バイタルサイン
2 胸部レントゲン所見
3 呼吸状態:呼吸音、肺雑音の有無、程度、部位、咳嗽、喀痰、チアノーゼ
T-P
1 ベッド上安静の為身の回りの介助をする
2 呼吸困難時、医師の指示で酸素吸入を施行する
3 喀痰喀出困難時には吸入を施行する

#18輸血による副作用が起きる可能性がある

目標:異常が早期に発見できアナフィラキシーショックにならない
O-P
1 バイタルサイン
2 輸血の副作用:発熱、悪寒、戦慄、じんましん、顔面の浮腫、粘膜の腫脹、吐気、嘔吐、掻痒感、喘息発作、呼吸困難チアノーゼ
T-P
1 輸血開始後しばらくは患者のそばを離れず様子を観察する
2 悪寒、発熱時には、湯たんぽ、電気毛布で保温に努める
3 副作用出現時には直ちに輸血を中止し、医師の指示で抗アレルギー剤を与薬する
E-P
1 輸血前に輸血の副作用について説明する
2 異常時はすぐに報告するように説明する

#19中枢神経系湿潤による種々の症状がある

目標:症状出現時速やかに報告できる
O-P
1 バイタルサイン:血圧、P
2 頭痛、吐気、しびれの有無と程度
3 髄液検査の結果:細胞数増加、初圧、終圧、タンパク質増加
4 ADLの範囲
5 麻痺、しびれの程度
6 褥瘡の有無
T-P
1 ベッドからの転落、打撲など外傷に気を付ける
2 髄注の際は患者の苦痛不安の除去に努める:髄注後頭痛、吐き気があれば医師の指示にて薬剤の与薬
3 麻痺しびれが進行すればその状況に応じてADLの介助を行う
4 排便コントロール
5 安静時は良肢位を保ち、またベッドサイドでできるリハビリテーションを行う
6 エアマットの使用や体位変換を行い、褥瘡予防する
E-P
1 リハビリテーションンの方法を患者及び家族に説明する

#20中枢神経系湿潤による麻痺が進行することによる不安がある

目標:看護師や家族に不安が伝えられる
O-P
1 患者の言動
2 家族の訴え
3 患者へのムンテラ内容
T-P
1 眼に見えて麻痺が進行するので毎日励まし勇気づける
2 家族にも頻回に面会に来てもらえるよう働きかける
#21寛解退院後、外来治療の継続が必要であるが自己管理できない可能性がある
目標:治療の継続の必要性が納得でき、感染症を併発しない
O-P
1 患者の理解度
2 家族の受け入れ状態
T-P
1 外来での継続治療の内容を把握しておく
2 医師と相談し退院後の安静度を決定する
E-P
1 退院指導を行う
a 定期的に外来受診する
b 内服は確実に服用する
c 治療後1~2週間は特に感染を受けやすいことを説明し感染予防に努める(人ごみの外出は避ける、外出時はマスクをする、含嗽や手洗いの励行)
d 食事は生物は避け必ず加熱した物を摂取する
e 体に異常のある場合には速やかに外来受診する
f 規則正しい生活をし過労を避ける
g 出血傾向がある時は事故防止に努め傷をつくらない

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